海南島近現代史研究会が創立されました
海南島近現代史研究会 斉藤日出治
1998年夏から、紀州鉱山の真実を明らかにする会は、海南島で、日本政府・日本軍・日本企業の侵略犯罪の実態を「調査」してきました。
2005年5月には、それまでの報告をまとめた冊子『海南島で日本は何をしたのか 虐殺・略奪・性奴隷化、抗日反日闘争』を、ことし2月には、写真集『日本の海南島侵略と抗日反日闘争』を、それぞれ『パトローネ』特別号として発行しました。
これまで9年間の調査・研究・伝達活動を前提として、さらにおおくのみなさんとともに、海南島における日本の侵略犯罪の実態を具体的・総合的に把握し、日本の戦争責任を追及することを目的として、わたしたちは、8月5日に大阪で、海南島近現代史研究会の創立集会を開きました。島根、東京などの遠方からの参加者もふくめて23名が参加しました。
はじめにこれまでの紀州鉱山の真実を明らかにする会の、13回にわたる「現地調査」、資料収集、「海南島戦時性暴力被害裁判」の支援、侵略犯罪の事実を伝えていく運動などについての報告がおこなわれました。
続いて、海南島近現代史研究会創立に寄せられたメッセージが紹介されました。16の個人および団体から研究会発足の意義と連帯を表明するメッセージが寄せられました。海外からも、韓国真実・和解のための過去史整理委員会諮問委員朴炯圭さん、韓国学中央研究院の朴成壽さん、海南大学図書館長の・長智さんなどから、侵略犯罪の究明を訴えるアピールをいただきました。
その後、研究会の会則が検討され、採択されました。
会則では、研究会の活動として、海南島における日本の侵略犯罪と抗日反日闘争についての証言の聞き取りと記録、侵略遺跡の調査、資料収集、映像記録の保存、国際的な共同研究と併せて、日本政府・日本軍・日本企業の責任追及、犠牲者の追悼碑建設基金協力、「海南島戦時性暴力被害裁判」支援、「朝鮮村」発掘調査などの課題を挙げています。
休憩をはさんで、新ドキュメンタリー『月塘村惨案』が上映されました。日本敗戦3か月半前の1945年5月2日未明に、日本軍は月塘村に侵入して、256人の村民を殺害しました。そのなかには乳幼児や児童や妊婦もふくまれていました。ドキュメンタリーは、そのとき生き延びた村人の証言や、全村民の「賠償請願書」などについて紹介しています。
上映後、月塘村の人たちが進めている追悼碑の建立にわたしたちが基金協力をしたいという提案がなされ、今後会として基金募金活動を進めていくことになりました。
続いて、「朝鮮村虐殺」の真相究明について報告されました。韓国の日帝強占下強制動員被害真相究明委員会は「朝鮮村」の調査に関する報告書を本年1月に作成しましたが、この報告書は、真相究明とはほど遠い内容のものであることが批判され、あらためて「朝鮮村発掘」をふくむ具体的な真相究明作業を委員会に求めたという報告がおこなわれました。
最後に、会場の参加者全員が研究会の発足に当たっての思いを述べました。
海南島近現代史研究会は過去の歴史を第三者的に調査する学術研究機関ではなく、侵略の事実の究明を通してわたしたち自身の歴史認識を問い直し、犠牲者と自己との関係を新たにつくりあげていく集まりであるという思いをあらたにしました。
このホームページをお読みの皆さんにも、海南島近現代史研究会への参加と協力をお願いします。
事務局は、大阪府大東市中垣内3−1 大阪産業大学経済学部 斉藤日出治研究室内です。みなさんからの連絡をお待ちしています。